exhibition 菅野まり子 | 山海󠄃遊游 | Galerie LIBRAIRIE6 / シス書店
菅野まり子 「山海󠄃遊游」展
Mariko Sugano 《Wanderlust to Spirits World》
憂島を離れて、山水に動物や幻獣たちと戯れる、新作タブローを展示
2022年9月3日〜18日
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Galerie
LIBRAIRIE6
open: 12:00‐19:00 (日/ 祝日 12:00- 18:00)
close: 月曜日 ・ 火曜日(月火が祝日の場合も店休)
※展覧会最終日は17:00に閉廊いたします。
※オンライン展は、初日9月3日の13時より公開いたします。
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憂島を離れて、さらに内奥へ― 漆黒の背景に、見えない景色を透かして
擾乱の憂世を発って、遠く仙崖へと向かう旅―
山水に動物や幻獣たちが戯れる、新作タブロー連作を中心に展示
巡禮の鈴の音遠く幽か
憂島の山奥に独り入る
戰する人影なき地に
言の葉絶えて降り敷かれず
名を持つ前の気象らが
ただ白雲とたわむれる
自ずから問う舌先はみな
礫となりてまろびゆく
諍いの人語があさましく、心根を枯らし尽くしていた頃、中国古典の『山海経』(※)を取り出した。謎の筆者はその意図も痕跡も見せず、あたかも事象そのものが語る数式のように、地理と博物が綴られている。
嫌人癖に陥ったとき、そのような文章は実に心地よい。既読の書ではあったが、未知の地平が摩耗した心身に開闢し、えもいわれぬ山水の精気を吸うことが出来た。そして、文章に小さく添えられていた、荒唐無稽な幻獣の数々を、毎晩描き写しみることにした。彼らが自ずから棲息している異界に思い馳せていると、その平穏不動の地に自らも立っているような喜びが込み上げてきて、もはや「憂い」は小さくなり、去っていった。
やがて白日にまぼろしを見る。首から先が現れたと思ったが、それは一つの手で、右手を掴まれたような気がした。語らず、惑わされず、ただ描き留めてみよと、筆を持たされたのだろうか。
(※) 著作者不詳、古代中国より伝わり、加筆編纂されつつ、現代に伝わったとされる地理書。山岳奥地や洋上の彼方の地勢と共に、現地に棲息する動植物や異民族について列記されている。1600年前の詩人・陶淵明も、隠棲した私室に寝転び、はらはらと同書を繰りながら、彼ら幻獣たちが住む山海に思い馳せる楽しみを、詩に残している。
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※展覧会最終日は17:00に閉廊いたします。
©Mariko Sugano
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